『トラジディ・ガールズ』

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ジャケットの時点で楽しそうだし、実際の映画もとても楽しかった。
陰惨な人殺しの話だけど演出はひたすらポップで、軽快に展開してくれる。

しかーし、皮肉たっぷりで結構考えさせられましたね。

スラッシャー映画だけど、いつもとは様子が違う。

ネット世代でネット依存の今時のティーンがツイッターでスターになるためだけに殺人を犯しちゃう。
10年前ならちょっと考えられなかったかもしれないが、すでに現実はこの映画に近いところまで来ていると思う。

ぶっちゃけ全然荒唐無稽とは思えないのだw

ネットで有名になるために殺人までやるかという話だが、再生回数のために命をかけるYouTuberやインスタのイイネの数で一喜一憂してしまうのが現代っ子。

自らをトラジディ・ガールズ(悲劇の女の子たち)と名乗って、ツイッターアカウントを運営する主人公の女子高生マッケイラとサディも例外じゃない。

巷で話題の連続殺人鬼をまんまと捕まえた彼女たちが、殺人鬼の仕業に見せかけて連続殺人を犯し、悲劇の被害者を装ってネットで有名になろうとする。

この映画は柔軟じゃない人や良識人が本気で激怒しそうな不謹慎な表現とストーリーなんだけど、ブラックコメディの心意気があるので、素直に受け入れられるかは鑑賞者の表現に対する尺度によると思うw

オレはなんでもかんでも楽しめるアホなので幸運にも楽しんでしまったw

話だけを捉えるとどう考えても不快な胸糞内容でありながら、なんでこんなに楽しめたのかってゆーと、一番の理由は主人公のトラジディ・ガールズさんが可愛い女の子たちだからに決まっているw

これがもしマイケル・ルーカー並のオッサンだったら、そんなのは一瞬で『ヘンリー ある連続殺人鬼の記録』になってしまうw

見た目の時点でトラジディ・ガールズは殺人鬼であろうが許容されるのだw

愛らしいトラジディ・ガールズのやってることはおぞましい連続殺人なんだけど、演出の巧さもあってこっちまで「あはは、やっちまったなぁw」程度の軽い気持ちで観賞してしまう効果があった。
「ファイナル・デスティネーションじゃん!」みたいな台詞ひとつにしても、一貫して「軽さ」が維持されているのが見事だった。

人が無残に殺されているシーンでありながら、そこら辺の絶妙さが実は相当優れている。

殺人も暴力も、この映画においては絶対に「軽く」なければならないのだ。
トラジディ・ガールズの短絡的な思考や価値観をブラックコメディとして強調することで、誰もがたやすく虚栄心を満たすことができるネット社会への問題提起になっている。

作風として説教臭さなんてまるでないのに、ちゃんと考えさせられる作品に仕上がっているのは凄いことだ。

結局はサイコパスの高校生が勝手な欲求で殺人を犯す話でしかないのだが、観賞後の印象はどこか晴れ晴れとし、清清しかった。

トラジディ・ガールズが葛藤の末にサイコパスとしての自分を受け入れ、覚悟を決めたラストは痛快でさえあった。
殺人鬼は最後に罰せられるのが「正義」なのかもしれないが、そんないかにもハリウッド的な終わり方にはならないのがこの映画。

「ネット世代の殺人鬼映画」として皮肉が効いていた。

『トラジディ・ガールズ』はアホのフリして至極インテリだったなというのが正直な感想。
ストーリーもキャラクターも根底の部分で説得力が高くリアルだし、現代人として個人とネットのあり方を冷静に見直してみたくなった。

傑作でした。

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