デビッド・クローネンバーグの正真正銘の息子ブランドン・クローネンバーグによる待ってましたと言えるいよいよ長編2作目。
死ぬほど大傑作!
おっかない!
遠隔操作で他人の精神に同期し、肉体乗っ取る器用な新時代な暗殺システムを描くSFスリラー『ポゼッサー』がヤバかったです。
乗っ取った側の暗殺者と乗っ取られた側の青年。一つの肉体の中で二つの精神が混乱を起こすトラブル発生で、激しいせめぎ合いが起きるという異色のストーリー
だいぶ個人的な変態趣味の演出に偏りすぎてた『アンチヴァイラル』に比べるとだいぶシュッとしてるといか、なんかスッキリしてきてる印象受けました。
いや、十分変態なんだけど、変態をアピールしたい気持ちのコントロールが制御されてきてて、いいバランス感覚が養われてきてるんだと思いました。
ちょうどいいクドさと荒々しさ。味付けが研ぎ澄まされてきた。
何もかも変態なんだけど暴走しすぎず、しっかりと冷酷に犯罪サスペンスしてて、エンタメとしては成熟してきてる。
主役の暗殺者役のオバハンがそもそも異様に顔が怖すぎてキャスティングが天才すぎる。
もはや『ザ・フライ』のクリーチャー並みのグロテスクが表現されているのが凄い。
直接的な肉体破壊や殺傷シーンの視覚に訴えてくる殺伐としたおぞましさもそうだけど、もう作品を覆う漂わせているオーラがやっぱクローネンバーグ性の心の在り方、考え方みたいなのが出ちゃってるからw
間違いなくクローネンバーグの血筋の唯一無二の変態な才能が受け継がれてる証明。
さっすが筋金入りのクローネンバーグの精神の伝達成功が成し遂げられていて、お父様時代からの映画ファンにはとっても嬉しすぎw
ストーリーもビジュアルもグロテスクで気持ち悪くて最高だったし、ラストもめちゃくちゃダークすぎて後味悪くて最高でたまらん。
機械と人間、無機質と有機質、精神と肉体。
変わらぬテーマがあり、映像として容赦ない描写がある。
これこそ我が家の伝統の手法だぞ、美学だぞってのがちゃんと鑑賞者にも以心伝心してる。
90年代のお父さんの脂の乗りっぷりと鋭ささえ感じさせる風格ハンパない『ポゼッサー』。
息子ブランドンが体現する次世代変態の確かなる才能、まざまざと目撃しました。
これでお父さんはもう引退しても安心。
もちろんまだまだ引退して欲しくはないけども、万が一何かあっても大丈夫。
映画の未来は明るい!
でかした!