『ジェラルドのゲーム』、面白い!
マンネリ解消のために「非日常」を試そうと人里離れた別荘にやってきた夫婦に起こるまさかのトラブル。
ハードな手錠プレイをこれから楽しむぞ!って直前に、バイアグラ効果が効きすぎた悲劇が旦那さんに発生w
ベッドには手錠でつながれた奥さんがただ一人放置プレイ。
腹を空かせた野犬と共に。。。
最初は「あはは、旦那さんバカだなぁ」なんて軽い気持ちで観てたんですが、事態が急転してからはもうほとんど閉口状態w
流れ的にサバイバルドラマのような展開になるのかと想定していたのですが、そこはスティーブン・キング様様であり、監督は最近天才ぶりが眩しいマイク・フラナガンということでそうストレートには行かないのでしたw
主人公がベッドにつながれた状態で話が持つのかと心配になりましたが、凄く工夫が凝らしてあるので全然飽きません。
トラブル発生後のシュールな演出も効果的で、結婚をテーマにしたダークコメディのような様子にもなったりして、「いったいどんな映画なのか?」って鑑賞者をどこまでも振り回しますw
マイク・フラナガンさんの余裕がうかがえます。
そして、いよいよ話は本格的にキング色を強めていきます。
主人公がしまいこんでいた心の深い闇が、死へと向かう中で明らかになっていきます。
肉体的衰弱と精神的危機が同時に迫り来る中で、彼女が何を見たのか。
死臭に導かれる野犬、墓荒らしの怪人、光を覆い隠す「日食」。
この映画は間違いなくキング原作ならではの作品です。
『IT』『黙秘』『ミザリー』などの作品群にも通じるテーマが根底にちゃんとあって、立派なキング映画になっていました。
キングが描く恐怖の対象は、モンスターや魔物のような実体としてビジュアル表現されるが、露呈されるのは常にそいつ自身のトラウマだったり、人間性だったりする。
人間の複雑で、不安定な内面から生まれてくるグロテスクで厄介極まりない敵。
それがキング映画における最もおぞましい恐怖なのだ。
キング映画の正統なテーマや恐怖をきちんと描きつつ、新しい才能マイク・フラナガンのセンスと非凡さが光るサスペンス・スリラーの傑作。
『ジェラルドのゲーム』がそれ。
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