『奴隷の島、消えた人々』
凄く怖かったですこれ。
韓国映画とPOVスタイルってどう考えても相性が抜群ですよねw
韓国映画は野蛮で、暴力的な表現に一切妥協がないし、どんだけフィクションでもやたらとリアリティがハンパない。
POVで描いたらとんでもなく臨場感の高いフェイク・ドキュメンタリーができそうじゃないですか。
で、『奴隷の島、消えた人々』はまさにその通りの傑作でした。
2014年に発覚した新安塩田奴隷労働事件にインスパイアされた背筋の凍るような話に仕上がってます。
知的障害者を違法に離島に売り飛ばして強制労働をさせていたという事件なんだけど、本作はこの実際の事件を基に迫力満点のサスペンスを作り上げてました。
女性ジャーナリストとカメラマンが離島へ強制労働の取材に訪れて、その後大量殺人事件が発生、カメラマンは殺され、ジャーナリストは重体。
ビデオカメラのみが回収され、警察が捜査の真っ最中という設定。
前半はビデオカメラに記録された映像がファウンド・フッテージとして映し出され、警察の捜査が通常映画として並行して展開する流れ。
ビデオカメラが収める離島の人々がみんな気持ち悪くてヤバいです。。。
島全体が文明社会とは思えない忌まわしい雰囲気を醸しだしていて、ジャーナリストとカメラマンがいつ危険な目に遭ってもおかしくない緊張感がビデオからも伝わってくる。
そして、後半で事態は急変。
一瞬で映画が追っていた事件が違う事件へと変貌するんですよね。
ノンフィクションからフィクションへと世界観を変貌させた瞬間でもあって、それを違和感を感じさせることなくやってのける辺りが秀逸すぎました。
ファウンド・フッテージの記録が終着を迎え、話は本格的な恐怖展開へ動き出します。
それまで信じていた風景が、目を疑うような地獄絵図になってしまう怖さ。
後半は完全にフィクションなんだけど、これがやたらとリアルでゾッとしましたw
病み過ぎてる韓国社会の暗くて、深い闇が重く圧し掛かってくるラストも素晴らしかった。
とにかく見応え抜群。
『悪魔はそこにいる』
これは悪くないんだけど、結局はう~ん。。。と首をかしげるしかない作品でした。
何十年も前にカルト教団による殺人と自殺があった農場へ遊びに入った若者たちが呪われるというPOVホラー。
カルト教団モノは大好きなので飛びついて借りてしまったんですが、ちょっと期待外れすぎたというのが本音でした。
POVなのは言いとして、どんな経緯でのファウンド・フッテージとして観たらいいのか分かりませんでした。
単純に発見された映像をそのまま観ているのか、警察が回収した証拠品を観ているのか、テレビ番組として編集されたものなのか?
最初に何も説明がなくていきなり始まるので、こっちはどんな映像のつもりで観たらいいのか迷います。
しかも、途中で通常映画のように効果音が収録されているので、「ファウンド・フッテージ」として辻褄をちゃんと合わせて発表して欲しいなと思いました。
そんな感じで設定が中途半端だし、演出も凄く惜しい作品でした。
話はちゃんと怖いです。
ビビって失禁してしまうような怖いシーンが凄くあるし、農場自体がブレア・ウィッチの森同様の魔界のようで気持ち悪い。
カルトの呪いには勝てないなと思いましたw
ただ、同時に失笑してしまうようなシーンもあって、怖いのと同じぐらい滑ってもいました。
特に最後のショットはバカみたいで勘弁して欲しかった。
本当に酷かったですw
多少滑っていても、ファウンド・フッテージとしての世界観を徹底してもらえば評価は違いました。
粗い仕事ぶりが惜しい一本。
『ハロウィン・レポート』
これは大好きですw
とてつもなく怖かった。
最初から最後までずっと怖くて、なんでこんなに怖いのかって思いましたw
最恐のオバケ屋敷を求めてオバケ屋敷巡りをする5人組の男女が、オバケ屋敷のフリしたキチガイ集団に誘拐されて地獄な目に遭わせられるというPOVホラーです。
ハロウィンシーズンにはぜひ観てほしいオススメの一本です。
ハロウィン近くになったらもう一度観たいぐらいのお気に入りw
この映画はさっき紹介した『悪魔はそこにいる』と真逆の素晴らしさ。
ちゃんとファウンド・フッテージの基本ルールに徹しているし、ディテールがマジメに作ってある完成度の高いファウンド・フッテージでした。
本作はハロウィンシーズンになるとアメリカ全土でオバケ屋敷がたくさん作られるという独特の文化に基づいた企画であることが興味深く、リアリティも生んでいる。
過激化していくオバケ屋敷の恐怖演出への憂慮や殺人事件や死亡事故というマイナス面なんかも取り上げて、ところどころにオバケ屋敷関係者へのインタビューなんかを差し込んでくる配慮が見事だった。
出演者のパフォーマンスも自然体で素晴らしく、全体的にファウンド・フッテージとしての説得力が極めて高かった。
そもそもオレ自身がオバケ屋敷が大の苦手というのもあって、死ぬほど怖かったw
オバケ屋敷巡りが田舎に向かうにしたがって、遭遇する人々もどこか狂っている設定になっているのも良かった。
さすがに社会を分かっているなぁと感心した。
そう。
地獄は田舎にあるのだ。
それがオバケ屋敷巡りの果てとして表現される後半は本当にゾッとするしかなった。
オバケもオバケ屋敷も苦手だし、もう大のオトナだし、オレは何があってもオバケ屋敷になんか行かないと心に決めているw
そんな気持ちを改めて高めてくれた『ハロウィン・レポート』は傑作。
※ちなみに続編は素晴らしい1作目を否定するような酷い内容になっているのでオススメはしない。
『マジェスティック12』
最低のファウンド・フッテージでしたw
たぶん今回の特集では一番の酷さw
これってオトナが作ったとは思えない仕上がりですよね。
カップルが祖父母の家に遊びに行って、長年出入りを禁じられていた小屋で宇宙人らしき死体を見つける話。
話をロズウェル事件となんとかつなげようとしてるんだけど、期待ほど面白くならない。
これはファウンド・フッテージとして興味深い映像ではないですw
肝心の宇宙人の表現も酷い。
宇宙人というより、宇宙人の衣装を着た人間w
それが庭をウロウロして、男女がわざとらしく怯える姿はM・ナイト・シャマランも失笑するしかないレベルのフッテージw
低予算にもほどがあるので表現が貧弱なのは観ていて辛いw
役者もあんまり上手くないし、話があまりにもこじんまりしすぎている。
ほぼ家とその周辺での展開なのでPOVの撮り方も平凡。
正直、退屈でしかなかったw
宇宙人やUFOモノならこれより1億倍面白いPOVホラーはたくさんあります。
つまり、『エリア51』がベストだなと確信しましたw