たぶん今年最も怖い映画ですねw
よく映画の宣伝で「全米震撼!」とか大袈裟なキャッチコピーあるけど、この映画にこそ使うべきだった。
ワケもわからず怖い気持ちにさせられるので、だからこそぶっちぎりのナンバーワンで怖い。
タイトルがもはやインパクト強烈だしね。
聖なると鹿と殺しってキーワードがくっついてる不吉さ。
この時点ですでに不吉すぎるけど、本編は想像を絶します。
ある裕福な医師の一家が、ある少年と関わったことで悲劇に見舞われる話。
キーパーソンであるこの少年が超現実的な、ある意味人間を超越した存在として印象的に描かれている。
たぶん登場人物や話自体が宗教や哲学の何らかのメタファーなんだろうけど、深いことは分からないし、分かりたくもないというねw
悲劇が起こりだしてからも、結局なんでそんなことが起こってるのか理屈ではまるで分からない。
オレからしたら要するに「呪い」なんだけど、これまでホラーで観てきた呪いには当てはまらない類。
これは新種の呪いだし、その発動の仕方も少年の意志のみというのが凄い。
この少年を演じるバリー・コーガンが天才ですw
この映画の迫力のほとんどは彼の卓越した演技力によるもの。
神か悪魔か何者か分からない人間離れした存在感が、この映画の不気味極まりない世界観を作り出します。
平穏だったコリン・ファレル一家が淡々と地獄に陥っていく。
この映画って実際のところ何も説明できないし、そもそも狂った人間しか出てこない。
少年はもちろん呪われる側のコリン・ファレル一家も全員思考や言動が普通じゃない。
どこまでも狂気の世界。
演出もなんか普通じゃないというか、やたらと気持ち悪くてヤバいです。
カメラとか音楽が意図的に神経を逆撫でしまくってきて話の不穏っぷりと相まって効果抜群w
鑑賞中延々と居心地が悪い。
作品全体がまるでこの世のものとは思えない異様さ、不吉さが漂っていて本当にゾッとする。
この映画で起こることはあまりに理不尽すぎるんだけど、なぜか納得させられる不思議な説得力があった。
少年の未知のパワーによる呪いなんだと信じるしかないし、ワケもわからずも受け入れて観賞している自分がいた。
時々笑っていいのか困る場面があったりして、もしかしたら大いなるブラックコメディだったのかもしれないが、もうねどう解釈していいのかは正直分からないですw
これまで観たことのないタイプの作品。
監督のヨルゴス・ランティモスが凄いんだろうな。
この人はこれまでも奇妙で、変な映画ばかり作ってきてるみたいだし、こーゆー悪趣味な手法で鑑賞者を翻弄するのが好きなんだと思いますw
こんなブットンだ映画を体験してしまったからには、ランティモスさんには今後は注目せざるを得ない。