ラブクラフトなのに、ニコケイという映画でした。
ニコケイなのに、ラブクラフトとも言えるけどw
せっかくのラブクラフトの宇宙的神秘と常識の遠く及ばない純粋なる恐怖が、ニコケイという生き物としての圧倒的マヌケな存在感と相殺されて、どっちにも振り切れず、中和されてしまった作品。
アルパカ牧場を営むニコケイの田舎一家の敷地に、空から隕石落ちてきて、何やら怪しげな紫のようなピンクのような色をババァ~って放って、周辺を覆ってきちゃって、家族が徐々に頭おかしくなって、時間も電磁波もデタラメになって、宇宙からもたらされた偉大な力には畏敬するしかなくなって、結局抗うこともできず、人間から卒業して、なんだか分からない異世界に旅立っちゃったという話です。
宇宙からやってきた鮮やかな紫の色の影響で、知っていたはずの世界が歪んで、精神も肉体も異変を起こして、なんだか分からなくなってしまうなんてね。
ラブクラフトの話はやっぱ人知を超越した宇宙神の御心働いててもう手も足も出ない怖さあるよなぁ。
それなのに、そこをニコケイが駆逐する勢いのマヌケを発揮しててさすがだと思いましたw
ニコケイがアルパカ飼ってる時点でマヌケな画力が凄いなぁと思ってしまうし、その設定がニコケイをいつもよりより余計に間抜けに演出してましたw
アルパカの乳絞って、おいしく飲み干すニコケイのドヤ顔が本編で一二を争うぐらいにめちゃくちゃにマヌケw
コズミック的な恐怖を打ち消すほどのマヌケなオーラがヤバいw
状況が悪化すればするほど、ニコケイのマヌケが引き立っていくし、いつもの顔芸も際立って光るw
隕石落下のインタビュー取材でクセのある寝ぐせを付けながら、ぼんやりと虚ろに答えるニコケイ。
車のエンジンかからなくてブチ切れて屋根をドカドカ叩いて狭い車内で癇癪起こすニコケイ。
収穫したリンゴがことごとく失敗しててブチ切れてゴミ箱にダンクシュート決めてたら、カミサンにドン引きされるニコケイ。
列挙にいとまがない特筆のマヌケが連発w
話はちゃんと怖かったし、ラブクラフトらしい作品なんですが、そこにニコケイがいるのだw
得体の知れない紫色の変な力で家族も自分も何やってんのか分からなくなっていき、みんなでムダな抵抗も空しく、紫色に支配されたニコケイ一家が、宇宙規模の理解しえない、理解しがたい御力に心身共に委ねてしまってのラブクラフトな末路。
こんな世にも恐ろしい事態が起こっていたにも関わらず、ニコケイが無意識に全身全霊で作り出すマヌケが気になって仕方なかったのだから、こっちとしてはどーゆー気持ちで鑑賞するべきだったのかちょっと分からなくなってましたねw
つまり、なんつーか、物体Xにニコケイ出しちゃダメだってことなんだと思いましたw
ニコケイ自体がもはやラブクラフトに登場する化け物に匹敵する完全無欠なマヌケなのだから。