『セーラ/少女覚醒』『ゴーストランドの惨劇』

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『セーラ/少女覚醒』

ハリウッドで映画デビューを夢見ながらジャンクフード屋で生計を立てる少女セーラが、あるプロダクションが企画するホラー映画のオーディションを受けたら、なんか体調も精神もおかしくなってしまう話。

主役セーラさんがメチャクチャおっかなかった。

少女って呼ぶには結構な年増にしか見えないがw

そこをカバーするチャーミングさはありましたけどね。

無垢なセーラさんが、スゲー悪くなっちゃうw

文字通り「変身」します。

女優としての成功と虚栄心のためにならと悪魔に魂を売り渡して、グロテスクなプロセスを経て、人間からも卒業してリボーンするセーラさん。

自分を社会的に軽んじる行為は死ぬこと同然なのだ。

ニコラス・レフンの『ネオン・デーモン』にも通じる女性という生き物への蔑視思想が、心の醜悪さが肉体の腐敗と共に表面化していく後半に素晴らしく表現されていました。

ハリウッド伝統の女性への性的嫌がらせとその悪しき文化に甘んじてきた女性自体を含めて、こーゆー形で皮肉ったストーリーも面白いw

監督はなんとリブート版『ペット・セメタリー』を作った人たち。
すでに違う表現で「死」を描いていたw
ホラーの才気をバリバリ放ってたんですね。

昨今のホラーではトレンディな「いつもの集団」によって、呪いが発動してしまうのが常識。
おぞましい話にはやっぱ欠かせない要素w

終盤は気合の入った骨太なスプラッター表現で、血みどろなドタバタ地獄が実現する。

とても怖くて、不気味で、知的な作品でした。

『ゴーストランドの惨劇』

相変わらずタイトルがカッコいいじゃねーかコノヤローw

メチャクチャに怖かった。

冒頭でラブクラフトなんかをいきなりイジってきたので、何事かと思ったオレw
まさかパスカル・ロジェさんが気分転換に趣向を変えてラブクラフト関係かと思ったら、全然違ったw

もちろんちゃんと意味があるのだが。

ある一家が体験するこれ以上ないぐらいの絶望的な話。

シングルマザーが2人の娘たちと叔母さんが残した田舎の奥深い一軒家に引っ越してくる。
現実的な姉とラブクラフトに心酔する空想しがちな物書きの妹。
そして、その日に事件が起きる。

2人組の暴漢たちに襲われるのだ。
母親の必死の反撃で犯人たちは絶命。
数十年後、ホラー作家として都会で成功した妹が、姉からの「助けて!」という切迫した一報を受けて、惨劇のあった実家に戻るのだ。

たぶんパスカル・ロジェの最高傑作にして、最も怖い作品。

満を持した新作は、想像をはるかに超えて凄絶でした。

『マーターズ』『トールマン』の人ですからね。

ずっと待っていたし、だからこそ心して観ました。

でも、どんだけ覚悟してると思っていても、やっぱ足りませんでしたね覚悟w

心折れそうになったw

マジで傑作すぎて絶望しましたw
絶望の後、ほんの少しのわずかな希望が見えるんだけど、また絶望のどん底に突き落とされるという地獄。

イジワル!w

涙も出てこない。
神は死んだのだ。

パスカル・ロジェはやっぱ人格者。
こんなにマジメに社会の問題や闇について色んなことをちゃんと考えている。

一見するとホームインベージョン物の流れを受けてのバイオレンスだが、この作品で描かれる状況ってのは世界のどこかで起こっているのだ。

テレビのニュースなんかでも実感する胸糞悪い人間の仕業。

この映画は閻魔大王レベルで恐ろしいが、ファンタジーとしてのホラーじゃないんだよね。
オレなんかはどうしてもリアリティを感じずにはいられない。

これこそ見たくない、認めたくない現実というか、実際に真っ先に被害者となるのはまさにこの作品のように女性であり、子供なのだ。

理不尽な暴力によって虐待され続け、なす術なく痛めつけられるしかない毎日。

そんな現実は受け入れるにはあまりに苦しく、辛すぎる。

異次元の出来事としか思えないほど「現実」とは恐ろしいのだ。

ラブクラフトの作品に登場する恐ろしい姿形の魔物と同じぐらいグロテスクな「敵」が人間の姿として本作にも登場する。

パスカル・ロジェがユーモアもクソもなく真顔一辺倒で、現代人のユルんだ精神に容赦なく叩きつける『ゴーストランドの惨劇』。

とんでもない傑作ですコレ。

震えるような暴力描写と伏線が良く練り込まれた脚本はアカデミー賞も無視できないはず。

若干説教臭かった『トールマン』だったが、本作では物語に施された仕掛けがより洗練され、残酷さも際立たせていた。
役者の力量もハンパないため、目の前で起こる絶望がひたすら重くのしかかってくる。

極めて不快なんだけど、そこから目を背けるなと言われているようだった。

とにかく観て!
とゆーか、観ろ!w

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