おばんです。
『ザ・ヴォイド』を観て以来、無性にスチュアート・ゴードンの映画を観たくて仕方ありませんでした。
スチュアート・ゴードンの映画って学生時代に結構観ていた気がしたんですが、今回実際に色々借りて観てみたら、なんと未見のばっかりでしたw
全部圧倒的な面白さで参りました。
いやいや、マジでこの人は天才ですね。
ほとんどアカデミー賞レベルの信じられない傑作ばかりで唸った。
古いんだけど、映画に込められた精神がやっぱ違いますよね。
どの作品も我が道を行くカッコよさ。
あこがれますね。
この人が作るようなロックンロールな映画って稀有。
こんな人は今の時代にはいないです。
誰にも媚びてないし、人間の下劣さや本質をキレイごとなしに徹底的に描く精神が素晴らしい。
最初に見たのは『ダゴン』です。
おなじみH.P.ラヴクラフト原作作品。
ヨットが座礁して、近くの村に助けを求めた男女が、現地の怪しいカルト教団に捕まってしまう話です。
このカルト教団が最高w
あまりにも気持ち悪すぎるんですよね。
『ザ・ヴォイド』にも出てきたけど、あっちは見た目がなんか洗練されすぎてたというか、KKKをオシャレにした感じだったw
『ダゴン』のダゴン秘密教会の連中は、見るからに不衛生で、病気持ってそうだし、もはやただの排泄物に近い。
人間と海の豊穣の神ダゴンが交わって生まれたという村人たちは、その生臭そうな半漁人の姿が異様。
気分悪くなりますw
頭のおかしい人たちの表現も怖すぎて震えます。
本当に狂っていて、何言ってるのか分からないし、汚くて、不快で、言動がいちいちグロテスク。
現地人による悪趣味な拷問なんかもあって、顔面を剥いだりといった直接的なグロテスクシーンももちろん盛りだくさん。
この映画は精神もやってることもひたすらグロテスクなのに、どこか魅惑的なのは、やはりエロいからですねw
スチュアート・ゴードンはどう考えても性欲が強いので、エロもちゃんと理解してる辺りが信用できる。
超絶美人なのに、下半身は魚という半漁人女の背徳的なエロティシズム。
主人公が村から逃げたいのに、心のどこかで惹かれてしまう心理もちゃんと描いてる。
どの作品にも絶対に女の裸体が登場するし、オッパイもちゃんと映るし、男が性欲で自滅するというストーリーも描きこまれる。
そこがブレないのでやっぱ信用に値する人w
ちゃんとやりたいこと、撮りたいものを知っているので、何を作らせてもブレない。
確固としたビジョンを持っているなぁと思います。
ラストははっきり言って感動しすぎた。
考え方によってはハッピーエンドなのかもしれないですw
『死霊のしたたり』は一番知名度があるんじゃないでしょうか。
同じくH.P.ラヴクラフトw
これは楽しいですw
「モラル」とか「良識」とかって本当に身の毛のよだつ言葉だなって思いますよね。
言葉として気持ち悪いし、怪訝な顔で「なにそれ?」って聞き返してしまいたくなる。
死者を蘇る薬を開発した科学者の暴走を描いた本作は、まるで子供のように死者を弄ぶ主人公が痛快w
ほとんどモルモット代わりに次から次へとモルグの死体で実験を繰り返します。
「死者をひたすら軽く扱う」というモットーがこの映画の強み。
クライマックスに至っては暴走しすぎて、信心深い良識人でさえ「もう勝手にやってくれ!」って諦めるしかないw
スチュアート・ゴードンはわざわざ悪趣味で反社会的な演出で神経を逆なでしてくるが、そこが断然魅力的。
「死体の陵辱」という暗黙のタブーを、豊かな特殊効果と「良心」を捨てたような下劣なキャラクターで嬉々として侵してくる反骨魂。
そこの精神にオレは感動してしまう。
理解する人は少ないかもしれないが、スチュアート・ゴードンって純粋なヤツだなって思う。
自分を着飾れない不器用さというか、そこが好感。
ラストはまたしても秀逸。
本気で感動をしてしまうのはやっぱりキャラクター作りの勝利だと思う。
グロテスクな表現だけに注意が行きがちだが、キャラクターが実に良く描かれているというのもこの人の映画の素晴らしい点。
本当に天才。
『ドールズ』なんかはほとんどスチュアート・ゴードン版の『トイ・ストーリー』と評価してもいいぐらいの傑作。
たぶんこの映画を好きな人は多いはず。
廃盤すぎてDVD持っている人が羨ましいですw
冒頭の流れはほぼ『ダゴン』。
道で車が埋まって身動きが取れなくなった人たちが、怪しげな老夫婦の屋敷に助けを求めにやってきて。。。そう。いつものダゴン展開w
この映画は主役のドールズさんたちの活躍が凄くいい!
当時の特殊効果って本当に見事だよね。
CGも凄いけど、この時代の特殊効果の手作り感が今だと逆に高級感があって凄く新鮮。
なんかロマンと夢が詰まっているなぁと思う。
ドールズさんたちの凶暴さやおぞましさがこれ以上ないぐらい怖く表現されていて、本気で震えます。
そして、ドールズさんたちの呪われすぎの背景にはゾッとさせられます。
この映画がなければ、『チャイルド・プレイ』も生まれなかったのは間違いないです。
スチュアート・ゴードンのいつもの変態性はかなり抑えられていて、ファンタジックな世界観が強いのも本作の面白さ。
もちろんかなーりダークだけどw
この映画は不快な人間や失礼な人間がたくさん出てきて、そいつらがことごとく悲惨な目に遭う。
メッセージとしてとても重要だと思うし、社会人なら積極的に見るべき作品だと思う。
ダークすぎる『トイ・ストーリー』だが、「おもちゃを大切にしたくなる」という感想は共通かもしれないw
ラストは、たぶんスチュアート・ゴードン史上一番ハッピーエンドw
いい話だし、主役の子供も可愛いし、ドールズさんたちも不気味でありながらどこか愛嬌がある。
スチュアート・ゴードン入門作品として最適かもしれない。
最後は『ペンデュラム』です。
これはバリバリのカルト宗教映画。
中世スペインの邪教集団に捕まった男女と教祖の精神的危機を描いたゴシック作品。
スチュアート・ゴードンが宗教を使って人間の本質をあぶりだしたストーリーが秀逸。
『エイリアン2』のアンドロイド役や海外ドラマ『ミレニアム』シリーズで知られるランス・ヘンリクセンが教祖の役。
この人はとにかく顔が怖いし、普通の人間に思えない魅力があるのでこの役はピッタリw
信仰と捕まえた女への性欲の間で葛藤する姿が見事だった。
女の美しい体が、信念を揺るがすのだ。
この映画のポイントはやっぱ女ですねw
特にカラダw
いつになくエロいカラダだし、そのせいか教徒たちも性欲を刺激されて死にそうになってたw
裸体が何度も重要なシーンで登場する。
結局、欲求不満のオッサンの疲弊した精神は宗教では救えないのだ。
カルト教団の崩壊が、欲求不満がきっかけとなるというこんなに的を得た興味深いストーリーは天才じゃないと生み出せない。
ストーリー重視のため、スチュアート・ゴードン映画としてはグロテスクは若干控えめ。
だけど、相変わらず不快だし、ちゃんと悪趣味なのだ。
巨大な振り子でネズミを真っ二つにしたりとかw
『ペンデュラム』はすこぶる頭がいいし、説得力があって面白い映画。
ランス・ヘンリクセンの教祖に嫌悪感を持つが、悲哀を感じてしまい同情もしてしまうので、やっぱりキャラクター作りもそつがない。
これも間違いなくいい映画w
見逃してほしくない一本。
そんな感じ。
ということで、今回はこの4本を紹介しました。
第1回スチュアート・ゴードン特集いかがだったでしょうか?
そのロックな映画作りから微塵もブレない姿勢に、アナタもぜひシビれてみてくださいw
まだ観ていない作品もあるので、気が向いたらまた第2回を開催します。
たぶんw