めちゃくちゃ面白い!
アマプラでブラムハウスの『ハロウィン・キラー!』が気の利いたハロウィン映画の新たなる素敵な1本でした。
怖いし、笑えるし、懐かしいけど、なんか新しくもあって、総じて好感しか持てないハッピーハロウィーン!な気分アゲアゲになっちゃうエンタメ。
巷を騒がせた仮面の殺人鬼が35年ぶりに出現。当時の生き残りである母親を殺された女子高生が、科学オタクの友達の作ったwifi電波式タイムマシンで、殺人事件発生寸前の’87年の巷にブットんでしまい、仕方ないので留学生のフリして地元の高校に潜入しながら母親救うために奮闘という忙しい話。
凄く良く出来てた。
人権やら平等やら多様性やらでウルさくなってる昨今の社会通念を重んじる今時Z世代女子が、言いたい放題やりたい放題な80年代のなんでもアリな社会世相にツッコミを入れていくという構図はタイムトラベルあるあるのカルチャーギャップで笑いとる手法としてはまだ誰もやってない発明的アイデア。
スパルタ授業、性差別発言、容姿いじり、同性愛タブー思考の「常識」をいちいち指摘していくのだ。
35年の時を超えた世代間の価値観の温度差で起きる気まずさがすかさず笑いを誘発していくのは新鮮だし、痛快だしね。
そんな昔すぎる社会で浮きまくって、どうしてもツッコミが止まらないキーナン・プシカがめちゃくちゃ面白いw
早速見つけた’87年の母親が典型的勝ち組女子グループの典型的ビッチキャラだったという幸先悪すぎる前途多難さ。
なんとか歩み寄って友達関係築きながら情報収集して事件解明に乗り出すわけですが、母親の若気な知られざる、知りたくなかった嫌な部分も見ることになってしまう娘の複雑な胸中に頷いちゃったりして、マジメにバック・トゥ・ザ・フューチャー的ドラマが展開してくる。
もちろん土台の設定は『ハロウィン』で、ホラー演出としては『スクリーム』なんだけど、どう考えても『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を実はしっかりやっていて、プリクラマシーンをデロリアン代わりに80年代にブットんでしまう女性版マーティ・マクフライ役のキーナン・プシカの悪戦苦闘っぷりが時々マイケル・J・フォックスに見えるぐらい重なりまくるのだw
キーナン・プシカのバック・トゥ・ザ・フューチャーを手助けするための頭脳であるドク役までちゃんと用意しているのも泣けますw
マーベル世代にもアピールしてるので、タイムトラベル映画の代表例として『エンドゲーム』のタイトルにも触れておく辺りがちゃっかり者。
どんちゃん騒ぎパーティー、山小屋のキャビン、遊園地のオバケ屋敷とわざわざステレオタイプに殺人鬼が登場しがちなホットスポットが抜かりのなく山場として準備がされていて、それがホラーファンにはお約束ギャグとしても効果てきめん。
ロバート・ゼメキスやケビン・ウィリアムソンやジョン・ヒューズの脚本と同じぐらい凝った脚本だし、『スクリーム』と同じぐらい犯人の目星がめちゃくちゃ難しかったのも嬉しいw
作り手の思い入れ感じる映画ネタ満載で、ちゃんとスラッシャー映画してて、学園ドラマでもあり、タイムトラベル物としても成立してて、優秀。
ラストまでムダにしない一捻りが用意されていて、めちゃくちゃ考え抜かれています、マジで。
楽しいです。とにかくずっと楽しい。
ハロウィン来るたびに、絶対に観ておくべき必須作品のトップ3として謹んで、光栄にも選出しておきます。
カーペンターの『ハロウィン』や『トリック・オア・トリート』と並んでハロウィン映画の決定版に認定ですね。
いやー、最高でした。
アマプラオリジナルとブラムハウスの組み合わせでは久々の快挙のスマッシュヒットかもしれん。
もっと話題にすればいいのにね。
こんな面白映画なんだから。
ブラムハウスは少ない予算で効率よいホラー映画作りに強いけども、昨今は特に勢いが感じられるし、アレンジや工夫がやっぱね、長けてる。
その部分で最も信用できるブランド。
時々ズッコケるけど、ほぼ狙いを外さないよなやっぱ。
『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』と比べられてるようだけど、あっちはホラー映画の世界観自体をネタにしたメタフィクションスタイルだったけど、『ハロウィン・キラー!』はもっとしっかり映画として完成された作品でしたね。
シリアルキラー、青春コメディ、タイムトラベルの旨味を丁寧に、どの味も生きるようにプロフェッショナルに絡み練って、1本のジャンル映画として相当ちゃんと作り込まれた上質さが素晴らしいと思った。
『ハロウィン・キラー!』は映画愛溢れてて、映画ファンへの笑顔になれる真心籠った贈り物でした。
ハロウィンナイトのお供は『ハロウィン・キラー!』で決まり!