メチャクチャいい映画。
多くの人の琴線に触れる作品。
YouTubeやらTikTokやらありとあらゆる色んな動画サイトやらストリーミングサイトがごった返しであふれかえっては、無名な誰もがなんでもかんでもあることないこと発信しちゃってて、人生の貴重な時間を好き好んで消費して喜んで受信しちゃってる。
発信側と受信側。
『スプリー』はそんな病的なまでに「虚像」に快楽と意義を求めて止まない現代人を痛烈に皮肉った社会派POVホラー。
願わくば有名になりたいし、承認されたいし、虚栄心満たしたいし、人気者になりたいし、ちやほやされたいし、お金も欲しいしね。
数字と数値がすべて。
配信者とチャンネルの価値が、再生数と登録者数によってのみストレートに評価されてしまうので、目に見えるデータがすべてのマジで残酷な世界なのだ。
ネット環境とスマホ一台あれば、一般人が手軽に、気軽にできてしまうからこそ、世界観やセンスが問われるし、運も必要だ。
ユーザー名「カートワールド96」を運営する主役のカート君も例にもれずそんなSNSサクセスストーリーを夢見る典型的現代っ子なのだ。
10年間動画を上げ続けるも微塵もバズらないカート君が、なんとついに人生最大にバズるのだ!
スプリードライバーでお客拾って殺人中継してバズろうと思い立った底辺ストリーマーの暴走が臨場感あふれるスマホの忙しい動画配信画面でガチャガチャと展開。
スプリー中の車に仕掛けられた固定カメラと配信アプリのカメラ、上がってくるクソリプコメント、ストリーマーたちのカメラ、街中の監視カメラなどが組み合わさっての画面の作り込みが凄いw
主役のカート君演じる青年の狂気じみていく満面の笑顔がこれまたステキで、バズるためならと人殺しまでしでかしていく覚悟と努力が素晴らしく、それでもなかなかバズらないんだから、やっぱバズるのって本当に大変なのだw
カート君が関わっていくストリーマーたちがこれまたろくでもない嫌な人たちばかりなのも凄くリアルで良かった。
社会性の欠落したろくでもないヤツしか出てこないし、誰もが軽薄の権化w
受信側の輩の民度の低さもウンココメントの垂れ流しによって余すところなくしっかりと伝えてくる。
エンディングの意地の悪さも含めて本作は全編ブラックな笑いと絶妙な風刺が効いていたインテリ作。
動画配信がテレビ以上に身近になりつつある現代人。
それなりに胸に刺さるし、共感必至なんじゃないだろうか。
動画作りや配信の苦労を知っている人ならなおさら身に染みるし、涙なしには観れないはず。
人生は一度きり!やっぱバズりたい!
だよねー。
カート君のインスタとツイッターをぜひフォローしてね!